
writer NATULAGI編集部
年齢を重ねるにつれ、葬儀や法要などに出席する機会が増えてくるもの。ゆっくり準備をする時間がないことが多いからこそ、身につけるもののマナーについて、前もって知っておくと安心です。
いざというときに迷いなく、お別れにしっかりと向き合えるように、ブラックフォーマルの装いについて、フォーマルスペシャリストの森本圭子さんに教えていただきました。
そもそもブラックフォーマルとは?

ブラックフォーマルとは、葬儀や法事などの弔事(お悔やみの場)のほかに、結婚式や卒業・入学式などの慶事(お祝いの場)にも対応することができる礼服です。
「準喪服」と呼ばれることもあり、一般的な喪服として、喪主や親族、一般の参列者など立場に関係なく着用できます。一方「正喪服」と呼ばれる喪服は、弔事でのみ着用します。
どちらも特別な濃染加工がされた深い黒色の生地を使用しますが、正喪服の生地は光沢がなく、ブラックフォーマル(準喪服)よりデザインも格調高く比較的シンプルです。
ブラックフォーマルを弔事に着用する場合、ジャケットのインナーは基本的に黒に限ります。慶事でのインナーは白でも良く、アクセサリーで個性的に楽しむことができます。
最近では、弔事と慶事どちらにも使えるブラックフォーマルを選ぶ方が増え、デザインなど種類も豊富になってきています。
小物選びはどうする?
▲バッグ ¥5,830 Fete弔事では、殺生のイメージがある毛皮やワニやトカゲ等の爬虫類を避けるのがマナーです。光沢のないマットな質感の革製品(カーフレザーなど)は問題ないとされています。
・バッグ
布製の黒色のバッグが一般的です。革製のバッグを持つ場合は光沢のないものを選びます。袱紗や数珠、ハンカチなどの必要最低限の荷物が入る、やや小さめのサイズが好ましいとされています。
・靴
3~5cm程度のヒールのある黒のパンプスが基本ですが、カジュアルすぎないシンプルなデザインのローヒールパンプスもOK。エナメル素材や光る金具、派手なリボンなどの飾りは避けて、かかとやつま先が出ないタイプを選びます。
また、パンツ着用の際などは、プレーンなショートブーツも可です。
・アクセサリー
弔事で身につけられるのは、涙の象徴とされる白・グレー・黒のパールのネックレスと、パールのイヤリング(またはピアス)、婚約指輪と結婚指輪です。
ほかに、漆黒のジュエリーと呼ばれる、古代の樹木の化石を精製して加工した「ジェット」製のアクセサリーも、軽くて温かみがあり、弔事の席に好ましいものです。
ネックレスは「不幸が重なる」というイメージにつながることから2連3連ではなく1連のものを、また、ロングタイプは「不幸が長引く」というイメージにつながることから短めのものを選びましょう。

・髪型
ロングヘアの場合は、お焼香時に落ちてこないようまとめ髪がおすすめ。耳の下の低い位置でシンプルにまとめます。バレッタやシュシュなどのヘアアクセサリーは、黒で光沢のない素材を選びます。ショートヘアやボブの場合は、アレンジせずにそのままおろして大丈夫です。
・メイク
派手なメイクはNGです。ラメなどの光沢のあるアイシャドウは避け、口紅はベージュ系やヌーディなピンク系などのナチュラルカラーを選びます。
ネイルは落としておくのがマナーですが、簡単にとれないものやどうしても時間がない場合は、黒の手袋を着用する方法もあります。最近では自然な爪の色に近いベージュ系などのネイルであれば許容とされることが多いようです。
・ストッキング
無地の黒のストッキングを着用します。厚さは少し肌が透けて見えるくらいの30デニール以下が基本です。寒冷地では厚手のストッキングやタイツをはくこともありますが、その場合も編み柄が派手なものは避けて目立たないものを選ぶなど、カジュアルに見えないように配慮しましょう。
これも知りたい Q&A
Q1 寒い時期のコートの選び方のマナーはありますか?
「色は黒で、ウール・シルク・カシミアなどの天然素材が相応しいですが、カジュアルや華美になりすぎない無地感覚の地模様・織りなどのコートもOKです。ダウンコートであれば、黒で光沢のないマットな素材を選びます。
元々殺生に由来して毛皮は相応しくないと言われますが、極寒の季節や地域もあり、式場までの往復など、室内での着用でなければ良いとされます。その場合も室内では裏側にして折りたたんでおくのもマナーのひとつ。
また屋外での式の際は、コートを着用したままで良いとされています。その場合コートが派手で目立ちすぎることのないようにしましょう」
Q2 パールのネックレスは必ずしなければなりませんか?
「パール等のアクセサリーは、つけてもつけなくてもどちらでも全く問題なく、マナー違反にはなりません。
故人との最後のお別れとして身なりを整えて、自分なりの心配り、心遣いをして式に臨むことが大切です」
Q3 持って行くと役立つものはありますか?
▲バッグ2点セット ¥5,390 Fete・サブバッグまたはトートバッグ
色は黒が望ましく、派手なプリントがあるものはNGです。フォーマルバッグは小さめなので、入りきらない物のためになにかと重宝します。
・替えのストッキング
特に黒のストッキングは伝線すると目立ちやすく、持っていると安心です。
・ストールやスカーフ
葬儀場の空調は寒く感じることもあるため、体調に応じ調整しましょう。色は黒が望ましいです。
・折りたたみ傘
急な天候の変化にも対応できるように余裕があれば持っていきたいもの。色は黒、ネイビー、グレー等。
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出発前に確認したい持ち物リスト

□香典
□袱紗(ふくさ)
□数珠
□ハンカチ、ティッシュ/黒や白の無地のもの
□財布/地域によって焼香時に小銭が必要なことも
□携帯電話/電源は切るかマナーモードに
あると便利なもの
□サブバッグ
□替えのストッキング
□ストールやスカーフ
□折りたたみ傘
故人を偲び、成仏を祈願する大切なお別れの日。
「この着こなしでいいのかな?」 と不安な気持ちで当日を迎えることがないように、ぜひ記事を参考に、事前の心構えをしていただけたらと思います。
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