
writer NATULAGI編集部
年齢を重ねるほどに、「好き」と「似合う」の距離を感じることが増えてくる気がします。
数年前まで着ていた服に急に違和感が出てきたり、せっかく買っても結局着ない服が増えたり。そんな大人の困ったを解決するカギは、骨格診断にあるかもしれません。
各分野に精通したおしゃれ賢者にお会いして、「似合う」をみつけるためのヒントをいただく本企画。
8回目の今回は、骨格診断スタイリスト・ひるい ちかさんにインタビュー。大人のおしゃれに役立つ骨格診断のこと、ナチュランで洋服を選ぶポイントなど、たっぷりと教えていただきました。
〈教えていただくのは〉

ひるい ちかさん
担当した雑誌の企画で「骨格診断」に出会ったことをきっかけに、骨格診断ファッションアナリストの資格を取得。骨格診断やパーソナルカラーのメソッドを取り入れた大人のおしゃれを提案する人気スタイリスト。
そもそも骨格診断って?

――さっそくですが、そもそも骨格診断とはなんなのか教えてください。
ひるいさん:
「骨格診断では、体のラインや質感から判断して、ストレート・ウェーブ・ナチュラルの3タイプに分類します。これは、年齢を重ねても体重が増減しても一生変わらない、その人の個性なんです。
この3タイプをもとに、スタイルがよく見えたり、洋服が高見えしたりなどの効果があるおしゃれを導くファッションメソッドが骨格診断です」
――じつは今回、社内で骨格診断について話題にしたところ、なんとなく毛嫌いというか、結局は好きなものを着ればいいのでは、などの声があがりまして……。
ひるいさん:
「わかります。私自身も骨格診断を学ぶ前は、みなさんと同じく『着たい服を着ればいいじゃん』という派だったんですよ(笑)」
――そうなんですか!
ひるいさん:
「はい、その想いは今でも変わりません。ただ、着たい服をより素敵に着るために、骨格診断をぜひ取り入れてほしいなと思うんです」

ひるいさん:
「若い子は正直、何を着てもいいんです。でも大人になると、髪や肌のハリでカバーできていたものができなくなり、似合う・似合わないが明確になる傾向があります。
そんなとき、骨格診断のメソッドを使えば、好きな洋服をよりよく見せられる、苦手と思っていた服が似合うようになるなどの、うれしい効果が期待できるんです。
おしゃれが難しく感じてきた大人の方にこそ、ぜひ知っていただきたいです」
それぞれのタイプの特徴をご紹介

――骨格診断の3タイプについて教えてください。
ひるいさん:
「まずはストレート。このタイプは筋肉の質感がしっかりしていて、触れると弾力を感じます。上半身に目がいきやすく、実際の身長より高く見られることが多いです。ちなみに私はストレートタイプです。
ウェーブは、華奢見えしがちで、筋肉よりもふわふわとした脂肪の質感があります。体の厚みがなく、横から見ると平べったいタイプ。どちらかという下半身に重心があります。
ナチュラルは、筋肉でも脂肪でもなく、骨の質感を感じやすいタイプです。骨格と関節がしっかりしていて、体の厚みは中間程度。上半身・下半身の重心の偏りはありません」
▼チャートで簡単セルフチェック

セルフチェック成功のコツは「客観視」
――自分でチェックしてみたのですが、私(スタッフT)は、ウェーブかな? とちょっと自信が持てませんでした。
ひるいさん:
「では、よかったら診断してみましょうか」
▲全身の印象を確認し、手や首元、膝などポイントに軽く触れてチェックしていただくと……ひるいさん:
「Tさんは、ストレートですね」
――ストレート! 確かにウェーブとストレートで迷ったんです(汗)このセルフチェックがわからない、難しい、という声も多く聞かれました。
ひるいさん:
「セルフチェック成功の秘訣は、いかに自分を客観視できるかにあります。そのためには、一人だけでやらずに、誰かと一緒にやるといいですよ。
例えばTさんはチャートの最初の質問で、『手首を横から見ると平べったいタイプ』だと思ったとのことですが、診断としては筒型に近いです。誰かと比べるとわかりやすいんですが……」
ここで、たまたまスタジオにいたUちゃんにお願いして参加してもらうことに。
▲急きょ参加してくれたUちゃんのタイプを診断中。ひるいさん:
「Uさんは典型的なウェーブですね。お二人の手を比べてみるとすごくわかりやすいと思います」
▲写真だとややわかりにくいですが、手首の形を比べると違いが明確でした。ウェーブは手の平が薄く、ストレートは厚みがあるという特徴もあるそうです。ひるいさん:
「誰かと一緒にやるのが難しいときは、鏡で見たり、自分と同じくらいの体格の芸能人の写真と見比べたりするなど、客観的に見る工夫をしてみてください。
ただ、どうしても特徴がわかりにくい方もいるので、確実に知りたい場合はプロに診断してもらうのもおすすめ。骨格診断のタイプは一生変わらないものなので、一度知ればずっと役立てることができますよ」
3タイプ別のおすすめの服選び
――ここからは実際の洋服を見ながら、それぞれのタイプの服選びのポイントを教えていただきたいと思います。
「ストレート」は丸い体に線を足すイメージで
▲ストレートタイプにおすすめのアイテム。ジャケット ¥9,900/&yarn、ブラウス ¥18,700/Vent d'ouest、パンツ ¥6,490/LUPILIENひるいさん:
「ストレートの方は、身長が実際より高く見られやすいなど、上半身に目線がいきやすい方が多いです。
そのため、上半身のトップスの首が詰まっていると、少し苦しそうに見えてしまうので、襟元をあけて首やデコルテを出すほうが、すっきりとしたバランスになります」
▲Vネックのトップスやジャケットはとくに似合いやすいアイテム。「体を縦で見ると円柱型に近く、どこか丸く見えがちなストレートタイプ。そこにシフォンなどのやわらかい素材をまとうと体が全体的に大きく見えてしまうことがあります。そのため、自然と縦のラインが出るようなハリのある素材が似合います。
丸の体に線を足すというのを意識して、シャープでしっかりと形のある素材、直線的なデザインを選ぶといいですね」

「ボトムスでいうと、センタープレスのストレートパンツなど縦ラインが強調できるもの。柄はシンプルな無地か、ストライプ柄などがおすすめ。
シンプルな洋服にアクセサリーで少しアクセントを加えるような、さりげないおしゃれが映えるタイプです」
足し算のおしゃれが楽しめる「ウェーブ」
▲ウェーブタイプにおすすめのアイテム。プルオーバー ¥12,980/KELEN、ブラウス ¥10,780/AUG、ドットスカート ¥15,950/vent blancひるいさん:
「先ほどストレートはデコルテを出した方がすっきり見えるとお伝えしたのですが、逆に上半身に厚みがないウェーブは、デコルテを見せすぎると印象がさみしくなってしまいがち。ウェーブタイプは、首が詰まったクルーネックやハイネックなどがよく似合います。
アクセサリーや華やかなヘアアレンジもおすすめで、足し算のおしゃれが得意なんです」
▲ウェーブにおすすめなのは、フリルやギャザーなど華やかなデザイン。「素材は、シフォンなどのやわらかさのあるものがなじみます。こちらもストレートとは真逆で、ウェーブの方のやわらかいお肌に、パリッとしたコットンなどのかたいものをそのまま着てしまうと、ミスマッチが起こりやすくなるんです」
▲「とくに夏のトップスは、1枚で着てもさみしくならない、デザイン性のあるものがおすすめです」「そして、上半身が薄い分、対比で下半身が大きく見えやすい傾向があるので、それをカバーするボトムス選びもポイント。
目線をかく乱するような小さめのドット柄や小花柄などは、下半身のボリュームを目立ちにくくします。
また、体型を問わず手首・足首が比較的華奢な方が多いので、ボトムスの丈は足首が少しのぞくような丈を選ぶと、すっきりとしたバランスに見せることができますよ」

「足し算のおしゃれ、甘めのデザインが似合うウェーブですが、大人世代が取り入れる場合の私のおすすめは、色はモノトーンなどでシックにまとめること。
ディテールが甘いぶん、色みを抑えることで、より大人らしく洗練されたおしゃれが楽しめると思います」
ビッグシルエットが映える「ナチュラル」
▲ナチュラルにおすすめのアイテム。ワンピース ¥20,900/KELEN、トップス ¥5,500/Lintu Laulu、パンツ ¥12,100/AUGひるいさん:
「ナチュラルは、体の重心に偏りがなく、上から下まですーっと一定に見えるタイプ。体のフレームがしっかりしています。
一歩間違うと妊婦さんっぽく見えてしまうようなふわっとしたワンピースも、しっかりとした肩や大きめの肩甲骨から生地がきれいに落ちて、とても素敵に着られるんです。
いわゆる、ビッグシルエットと呼ばれるような形のない服が似合うタイプです」

「逆にぴったりサイズのアイテムを着ると骨の質感が際立ち、どこか少年っぽくなってしまいます。Tシャツなどのトップス選びも、ドルマンスリーブのようなゆったりとしたデザインがおすすめです」

「また、その格好いいメンズっぽさがゆえに、ヒラヒラのフリルなどの甘めのデザインが、ミスマッチに感じることがあります。
女性らしい要素を足したい場合は、天然素材のざっくりとしたレースや刺しゅうのアイテムを選ぶと成功しやすいです」

「柄でおすすめなのは、ペイズリー柄やリーフ柄などのナチュラル要素のある柄や、抽象的な大きめの柄。
個性的な柄が似合うのはナチュラルタイプならではなので、ちょっとチャレンジングな柄でも、ぜひ着てみてほしいなと思います。
ちなみに丈が短いとくるぶしが目立って、寸足らずな印象を与えてしまうので、ボトムスの丈はフルレングスで足首を見せないほうがバランスがきれいですよ」
骨格診断は「似合う」と「好き」を近づけるツール
――じつはお話を聞く前は、ナチュランの洋服はゆったりとしたシルエットが多めなので、骨格診断はあまり参考にならないのかなと思っていたのですが、それぞれに似合うポイントがちゃんとあるんですね。
ひるいさん:
「そうなんですよ。同じように見えても、ちょっとしたポイントで似合うものは変ってきます。
でも、間違ってほしくないのは、骨格診断は『このタイプだからこういう服を選ばなければいけない』という話ではないということです」

ひるいさん:
「骨格診断は、『好き』と『似合う』を近づけるためのツールだと思っています。好きと思って買ったのに、似合わない気がすると、結局手にとらなくなってしまいますよね。
そういう、クローゼットに寝かせたままの服を、自分らしく素敵に着るためのヒントとして活用してほしいんです。
例えば、
ストレートの方が首の詰まったシャツを着るときは、ボトムスは縦ラインが強調されるスラックスなどを選ぶ。
ウェーブの方がVネックを着たい場合、中に丸首のTシャツをインしたり、ネックレスで華やかさを足したりしてみる。
ナチュラルの方がコンパクトなトップスを選ぶなら、ボトムスはワイドなフルレングスにしてバランスをとる。
といったように、似合わない気がしたアイテムも、少し工夫することで印象が変わって見えます。
全部を骨格診断どおりにする必要はなくて、服をより似合わせるためのヒントとしてどこかに取り入れることで、本当の意味でその人らしいおしゃれができあがると思うんです」

ひるいさん:
「今日の私のコーディネートも、骨格診断のエッセンスを取り入れています。
クルーネックのTシャツやふんわりとしたスカートという、ストレートタイプが苦手とするアイテムですが、そのぶんジャケットやネックレスで直線的な部分をつくって、体が大きく見えないよう工夫しています」
▲靴、バッグにはレザーを選んで印象を引きしめを。かっちりとした素材が似合うのもストレートタイプの特徴です。
▲「長袖のシャツは私にとって、好きと似合うがあわさったアイテム。旅先などで見つけるとつい購入してしまいます」ひるいさん:
「それに大人になると、ちょっといいお洋服を身にまといたいという気持ちになることもありますよね。でも、いい金額を出して買ったのに結局全然着ていない、なんてことがあったら、すごくもったいない! って思うんです。
骨格診断のメソッドを取り入れて、ちょっと合わせ方を工夫して似合わせることによって、使用頻度が上がったら、めちゃくちゃオトクですよね(笑)
骨格診断のルールに自分を合わせるのではなく、好きな洋服でもっとおしゃれを楽しむために、気負わず気軽に、骨格診断をぜひ取り入れてみてほしいです」
撮影/安藤美穂
- プロフィール
ひるい ちか
スタイリスト
2015 年よりスタイリストとして多数のファッション誌で活躍。骨格診断の考案者である ICBI 二神弓子氏に師事し、骨格診断ファッションアナリスト・パーソナルカラーアナリストの資格を取得。著書に『一生服選びに悩まない ヒルイルール』(学研プラス)がある。今年6月、顔タイプ診断、クローゼット診断を新たに加えたファッションコンサルティングサロン『CHIQUEA tokyo(シケア トーキョー)』始動。公式サイト:https://hiruichika.studio.site/