
writer NATULAGI編集部
前編では‟あっこたん”こと金子敦子さんの人生のターニングポイントになったショートヘアのお話を伺いました。
じつはこのショートヘア、「同じ髪型にしたい」という声がとても多く、通っている美容室をSNSで紹介したところ、全国各地からフォロワーさんが訪れるようになったそうなのです。
今回は特別に美容室におじゃまして、あっこたんヘア生みの親である、美容師の坂本龍彦(さかもとたつひこ)さんにお話を聞いてきました。
あっこたんヘアの誕生秘話、さらに髪に悩める読者のみなさまへのアドバイスもうかがってきましたよ。
あっこたん×坂本さんの特別対談、どうぞお楽しみください。
あっこたんヘアのポイントは「かわいい丸み」
▲左:金子敦子さん、右:美容師・坂本龍彦さん――最初に金子さんが美容室に来たときはどんな髪型だったのでしょうか?
金子さん(以下敬称略):ボブくらいでしたかね?
坂本さん(以下敬称略):ボブより長いくらいでしたね。
――最初のオーダーが、ショートにしたいと?
金子:短くしてくださいとは言ったと思いますが、私が思っているより短くなりました(笑)
坂本:美容師によって変わってくるところなのですが、僕はけっこう、一発目でやるタイプなんです(笑) でも誰にでもというわけではなく、娘さんが最初にいらしてすごく気に入ってくれて、その娘さんからおすすめされたという信頼がひとつあったので、思い切って提案ができました。
金子:驚いたのが、坂本さんにショートにしていただいたとたん、それまで着ていた服がまったく似合わなくなったんです。最初は戸惑いましたが、ナチュラルな洋服がぴったりハマって、私はこんな感じになりたかったんだ! って。
娘も「お母さん、これからはおしゃれな服しか似合わないよ。すごいね」って言っていました。

――すごい変化ですね! 「あっこたんヘア」最大のポイントはどこなのでしょうか?
坂本:その時々によって変化はつけているのですが、共通しているのは、「かわいくて上品な丸み」です。かわいい丸みといってもコミカルな感じや幼い感じにならないよう、上品でその人にフィットしたかわいらしさを出せるようにしています。
そして、そこを目指すなら潔くほかを削ることが大事で。曖昧でぼかした感じやグラデーションで切ったスタイルはミセスっぽく、所謂おばさんっぽくなりやすいんです。
金子:すごくわかります! 私も以前はちょっとブローして流して整えるみたいな、エレガントな雰囲気にされがちだったんです。それが坂本さんのカットでは全く感じさせなかった。
坂本:美容室によっては、年齢がミセスだとミセスっぽくするというマニュアル的なところもあるので、こればっかりは美容師との相性かもしれません。
▲あっこたんヘアのポイントはこの丸み! 「上下で2つのセクションに分けて、下のセクションは潔く短くすることで、デザインがはっきりするようにしています」(坂本さん)なんだかしっくりこない、髪型のお悩みを解決するには?
――坂本さんとの出会いは大きいですね。
金子:本当に、坂本さんがいなかったら「あっこたん」じゃなかったかもしれない。インスタでも髪型の話題が一番注目されるんですよ。
――それだけ悩んでいる方が多いんですね。どうすればしっくりくる髪型を見つけられるのでしょうか?
坂本:40代後半から50代に入ると、うねりが出たり髪の毛が細くなったり、今までの髪質から変化して戸惑う方が多いんです。
でもどんな髪質であれ、理想の髪型に近づけるには本当にちょっとした微調整だったりします。
自分はこれが似合わないなど、思い込みやマンネリもあると思うので、思い切って美容師におまかせしてみるのも良いかもしれません。
金子:私もそう思います。信頼できる美容師さんに出会ったら、頼ってみてもいいんじゃないかな。それこそ「変わりたい」って伝えてみるのもいいと思います。

▲アートやインテリアにも造詣が深い坂本さん。店内にはイタリアの「MEMPHIS」のプロダクトを多く取り入れています。――「変わりたい」と伝えるのもアリなんですね。
坂本:むしろ「ここをあと2cm」など細かい要望じゃない方が、提案はしやすいですね。
前髪は作らない、ぱっつんは好きじゃない、職場での制約があるなど、ここは必ずこうして、というものはもちろん伝えてOK。
さらにプラスして、その時の気分やなりたいイメージの方向など、いくつかのキーワードを伝えるといいと思います。おすすめは、キーワードを添えてのおまかせ。

金子:私のいつものオーダーもそうですね。「こういう服が着たい」とか「今度こういう撮影がある」とかちょっとした会話から。
坂本:そういうヒントから僕がイメージする感じです。今回でいうと「芸術の秋」ということで、さりげなくアシンメトリーな、アート感のある髪型にさせていただきました。
髪型を変えればおしゃれは変わる!

金子:洋服が決まらないときって、ほとんどの場合髪に原因があると思うんです。
毎日家でコーディネートの撮影をしていて、なんだか服が似合わないなというときは、大体美容室に行ってから2カ月くらい経って、伸びてきたり形が崩れていたりしているの。
だから好きな洋服が似合わないのは、あなたのせいじゃなくて髪型のせいってみんなに言いたいんです。
坂本:とくにゆったりとしたシルエットの服など、ナチュラルなファッションが好きという方の場合、髪型できれいなラインを出すことで引き締まって、全体のバランスがよくなると思います。

――髪型でおしゃれって変わるんですね。
金子:もう断言します。おしゃれになりたいなら、髪型を変えましょう!
坂本:金子さんのように、髪型に合わせて洋服も変えたり、そういう変化を楽しめるのって素敵だと思います。似合う服が変わったことに気づかなかったり、前のスタイルに戻したりする人も多いですから。
自分は、そのお客さまが誰に褒められたいかを考えて、褒められるところを想像しながらカットするんです。自分の大事な人や周りに褒められたりしたら、もっといろいろ挑戦できるはず、前向きに変われるはずと思うので。
金子:私も娘やフォロワーさんに褒めてもらえると、安心するしすごくうれしくなります。
おしゃれで褒められるところって、ちょっとだけ人と違うところ。髪型や髪色で変化をつけるのって、手っ取り早いし、なにより楽しいです。
ショートヘアもブリーチも、やってみたいなって迷っている方がいたらぜひ挑戦してほしいです。最高に気分が上がるしワクワクしますよ。

取材協力/ヘアサロンTANGRAM
オーナー・坂本龍彦さん @skmt_tangram
撮影/菊地和歌子