writer NATULAGI編集部
各分野に精通したおしゃれ賢者にお会いして、「似合う」をみつけるためのヒントをいただく企画です。
無難な色の無地の服、合わせやすいモノトーンの組み合わせ。悩まず着られて便利だけれど、ワクワクするようなときめきがなく、どこか物足りなさを感じることがあります。
また、年齢を重ねるにつれ、明るい色を味方にして、華やかさをプラスしたいと思うことも増えました。ただ、ふだん使わない色は、いざ取り入れようと思うとなんだかむずかしく感じてしまいます。
色を楽しむコツが知りたくて、今回はインテリアにもおしゃれにも、色を素敵に取り入れて暮らす小林マナさんのご自宅を訪ねました。
海外の暮らしからインスパイア。育まれた色使いのセンス
リビングに入り、まず目を奪われたのは、美しい空間に並ぶカラフルな家具や雑貨です。この家の持ち主は、インテリアデザイナーの小林マナさん。ナチュランでも人気の高い「マリメッコ」や「ラプアン カンクリ」などの店舗デザインを手がけてきた、色をあつかうスペシャリストです。
目に写る光景に取材陣一同が「すてき!」と感激していると
「私も朝起きてリビングに入ると、気持ちが明るくなるんです」とマナさん。
2016年に完成したご自宅は、もうすぐ9年が経ちますが、今でも毎朝、カラフルなリビングに朝日が入る景色に、心が動かされているそう。
▲保護団体でボランティア活動もするマナさん。現在預かっている保護犬のイチゴはもう5年以上、生活を共にしています。マナさんが最初に「色」を意識した記憶は幼稚園のころ。外国の文化やファッションに触れる機会があったことが、感性を育むきっかけとなりました。
「ドイツと日本のハーフの子と仲良くなり、おうちに遊びに行くようになりました。その子がおやつに食べていたチーズの真っ赤なワックスの包み、白いタイル貼りのバスルーム。なんだ、これは! と衝撃を受けたのを覚えています。
また、祖父がアメリカに住んでいて、お土産でもらう海外ならではの雑貨や洋服なども印象的でしたね」
学生の頃はアイビールックが好きで、アーガイルのベストやハイソックスを身につけてトラッドファッションを楽しんでいたそうです。
「当時から、黄色のシェットランドセーターなど、軽やかで明るい色を選んでよく着ていました」
▲マナさん専用のお部屋には、かわいい雑貨やアートがたくさん!美大を卒業後インテリアデザイナーとなり、独立後は夫の恭さんと設計事務所ima(イマ)を設立。北欧ブランドの店舗設計などに携わり、現地へ頻繁に通うようになったことから、北欧のライフスタイルやデザインにも影響をうけました。
そうして磨かれていった色使いのセンス。今の家にあるものは、「捨てるものがないのが困りごとなくらい」というほど、厳選されたお気に入りばかりです。
▲愛猫マロンがくつろぐカリモクのチェアは、なんと夫が子どもの頃から使っているもの!
▲壁一面のディスプレイは圧巻です。「色の影響って大きいと思います。
私はいつでも明るく軽やかにいたいっていう気持ちがあって、インテリアも洋服も、とにかく『気持ちを上げてくれるもの』をテーマに選んでいます。
とくべつ暗い性格ってわけじゃないと思うんですが(笑) 生活の中ではどうしても落ちてしまうことってあるから、目に入るもの、身につけるものから明るい気持ちをもらいたいんです」
▲最近購入したドイツの「BRAUN」の置き時計は、秒針や裏側のパーツの色使いにもこだわりを感じる名品。時計を置いているスツールはマリメッコの「ロッキ」というテキスタイルが木の柄に。上手に色を取り入れるポイントは?
カラフルな雑貨やアートを部屋に置くと、雑多な印象になってしまわないかな、と不安になりますが、どうすればマナさんのように上手に色を使えるのでしょうか?
インテリアに色を取り入れる際の、3つのポイントを教えていただきました。
メリハリをつける
よく見ると、リビングで目立つ色や柄はソファまわりにぎゅっと集中しています。
「目をひくものは一箇所に集めるといいと思います。空間にメリハリをつけるのが大切ですね。
我が家の南側は隣家と近いため窓が少なく、白壁の面積がたっぷり。だから飾ろうと思えばいくらでも飾れてしまうんですが、あえて壁にはなにも飾らず、余白部分をつくっています」
素材感を意識する
飾り棚をセンスよく飾るのは難しく感じてしまうものですが……。
「『素材感を揃える』ことを意識するとうまくいきやすいですよ。例えば土のモノと、木のモノは同じ自然素材でなじみやすいので、陶器の器、木製のフレームなどは並べても違和感が出にくいです。
アートなどの目をひくものは、まずは一個だけでいいと思います。自然素材のなかにひとつ色や柄のあるものを飾る、というのをやってみてはいかがでしょうか」
テーマを決める
「あとは、テーマを決めるのもいいと思います。我が家のバスルームのテーマは『北極』。水色のタイルを貼り、白くまのオブジェを飾っています。
以前は『幾何学柄』をテーマに、どこかに幾何学柄が使われているものを集めていたときもありました。そんなふうに好きなテーマを決めて揃えていくと、インテリアにまとまりがうまれると思います」
今回、小林マナさんのご自宅で取材をさせていただき、色のある豊かな空間と素敵なおしゃれを目にしていると、自然と気分が明るく前向きになっている自分に気づきました。まるでサプリメントのような、色の力を改めて実感……!
気持ちがちょっと下向きになってしまう、そんなときこそ、クローゼットの中から一枚、明るい色を選んでみる。目にするだけでうれしくなるようなお気に入りを部屋の一角に飾ってみる。
大人こそ色のある暮らし、みなさんも楽しんでみませんか?
- プロフィール
小林マナ
インテリアデザイナー
1998年に夫の恭さんとともに設計事務所「ima(イマ)」を設立。国内外の多数のショップや住宅のインテリアデザインを手がける。東日本大震災をきっかけに保護団体でボランティア活動も行う動物好きとしても知られる。
instagram:@manakobayashi