writer NATULAGI編集部
各分野に精通したおしゃれ賢者にお会いして、「似合う」をみつけるためのヒントをいただく企画です。
今回のテーマは、洋服選びについて。
「洋服は大好き、クローゼットに服はたくさんある。なのに毎朝着る服が決まらない！ 」そんなお悩みを感じた経験がある方は多いはず。
そんなモヤモヤを解決するヒントをもらいたいと、今回は暮らしとオリジナルウェアのお店「OURHOME（アワーホーム）」を主宰する、整理収納アドバイザーのEmiさんにお話をうかがいました。
ワンピースからパンツスタイルへ。40代のおしゃれの現在地
Emiさんといえば、ブログやSNS、オリジナルアイテムの開発などを通じ、これまでたくさんの人の困りごとを解決してきた暮らしの達人。
2017年に出版した著書『わたしがラクする服選び』（大和書房）では、なんと毎朝10秒（！）でコーディネートが決まるという、洋服との付き合いを紹介されていました。
あれから数年。現在も迷いのない洋服選びは変わらないのでしょうか、と問うと……
「変わっていません、むしろさらにラクになっています」
とさすがのご回答！ ただ、この数年、変化もあったのだといいます。
「じつはコロナ過に油断をして太ってしまい（笑）これはまずい、とダイエットをしたところ、今度は逆に落ちすぎて風邪を引きやすくなるなど、体を壊しやすくなってしまって。
そこで、運動習慣を増やしていったところ、体や顔つきが変わってきたと感じています」
▲Emiさんのクローゼットは、畳まず「ハンガー収納」のみ。 現在は90cmのラック1.5本におさまっています。運動は主にオンラインヨガと、ときどきジムに通うなどできることをしているそうですが、その効果は絶大とのこと。
「運動習慣によって、食生活も、考え方もすごく変わりました。体が引き締まってくると、着たいと思う服も変わってきて、それまであんなに大好きだったワンピースを着たいと思わなくなりました。
以前の私にとってワンピースの魅力って、ふわっと体を包んでくれて、体型カバーできるところが大きかったんです。でもそこが自分の中では重要じゃなくなって、今ではパンツスタイルばかりになりました」
自分を知るための「定点観測」と「全身鏡」
体型の波や変化を経ても、着るもの迷子にならずに過ごしているEmiさん。心掛けているのは「自分の現状を知ること」だといいます。
「洋服に限らず、なにかに迷ったときに、SNSにすぐアクセスするのではなく『まずは自分の現状を知る』というのが大事なんです。
今は、SNSの情報に振り回されてしまっている人がすごく多いと感じているんです。
手持ちの服の中から『着ていて気持ちいい服ってどれ？』『逆に居心地が悪い服って？』と、本当の気持ちを知る。わからないまま新しい情報に触れてしまうと、もう気持ちがグラングランしちゃうんですよね。
そうならないために、私が続けているのが、『定点観測の写真を撮ること』と『全身鏡を見ること』です」
▲定点観測は2017年から数年間毎日続け、一旦お休みをはさみ、最近また再開しました。「毎日その日のコーディネートを同じ場所で撮影する『定点観測』は、本当におすすめ。
着丈はもっと長い方がバランスがいいな、この色は顔映りがいいな、今日は顔がむくんでいるかも、など気づきがたくさん。自分のことが客観視できるようになると、服選びがぐんとラクになります。
あと、見るということでいうと、もうひとつぜひやってほしいのが全身鏡をよく通る場所に置くこと」
「我が家では、トイレに向かうために頻繁に通る廊下に鏡を置いています。気を抜いた状態のふだんの姿を見るっていうのも、現状を知るためにはすごく大事です」
今にフィットするおしゃれは？
「体型や年齢もそうですが、子どもが成長すると時間の使い方も変わるし、いろんなことが日々変化していきますよね。だからこそ、『今の自分にとってこれは心地いいの？』という質問を自分によくしています」
Emiさんがここ最近で変化に気づき、ブラッシュアップしたおしゃれを３つ教えていただきました。
ベストで作るレイヤードスタイル
「カットソーを1枚で着るのが似合わなくなってきたと感じて、ベストを重ねることが増えました。バランスがよくなり、さらに寒さ対策もできてすごく気に入っています」
アクセサリーの重ねづけ
「以前は憧れつつも、アクセサリーをたくさんつけるのはタイプじゃないって思っていたんです。
だけど、シミやシワが出てきた今の手には、しっくりくる感じがしてきて、アクセサリーの重ねづけを楽しむようになりました」
髪を20cmカット！
「ここ数年はロングヘアが定番だったのですが、さっぱりしたいなと思い立ち、ばっさり20cm髪を切りました。
気分が変わって、手持ちの服も新鮮に。髪型でまた似合うものも変わったと思うので、変化を見つけるのが楽しみです」
知ることで出会える、新しい自分
もうひとつ、Emiさんが自分を知るために教えてくれたキーワードは、「旅」でした。旅で自分を知る？ と意外でしたが、Emiさんにとって、それはとても大きなものだといいます。
「旅で刺激を受けながら、数日でも非日常の中に身を置いていると、自分が大事にしていることや、これからやってみたいことなどが不思議とみえてくるんです。
例えば、今年は久しぶりにヨーロッパに行き、スペインのバルセロナを訪れました。そこでは、太っている痩せているなど関係なく、女性が自分の魅力をダイレクトに出すような露出の多い服で堂々と歩いていて、めちゃくちゃかっこいいなと衝撃を受けました。
でも2、3日過ごしていると、今度は隠すという文化をもつ日本の奥ゆかしさ、素晴らしさにも気づくんです。
それで、私だったら『強みや魅力は出すけれど、節度を持って出しすぎず』という、二つの中間がいいなって。なりたい自分のイメージが、数日過ごす間にわかってくるんです」
▲一年に一回は家族で長期旅行へ。今年はスペインとギリシャを旅しました。「じつは最近、ミニスカートを買ったんです。体型に自信があるわけではないのですが、私なりの強みって何かな……と、思い切って足をだしてみよう！ と。もちろんタイツをはいて、ですが。笑！
久しぶりにアウトレットに行って、今まで持っていなかったミニスカートを手にとってみたら、ものすごくワクワクして、新しいおしゃれをするのが楽しみになりました！
今の自分にちょうどいいおしゃれを楽しめるよう、これからも現状をよく見て心の声を聞きながら、ブラッシュアップを続けていきたいです」
「着る服がない」と思うと、ついついSNSに正解を求めたり、なんとなくお店に行ってみたりしてしまいがち。でもその前に、まずは自分を知るということが、服選びのための第一歩。Emiさんのお話を聞きながら、クローゼットの中の洋服に向き合いたい！ という思いがふつふつとわき上がってきました。
その先にある新しい一着は、Emiさんのミニスカートのように、本当に自分を輝かせてくれるようなワクワクする出会いになりそうです。
写真提供／Emiさん
- プロフィール
Emi
「OURHOME」主宰
暮らしとオリジナルウェアのオンラインショップOURHOME主宰。これまでに書籍は21冊、最新刊は『伝え方ひとつで変わる わたしの毎日』（大和書房）。ウェアやバッグなど、100%オリジナルのものづくりを行う。YouTubeチャンネル『@OURHOME channel』では、着こなしコーデBeforeAfter企画も人気。Instagram:@emi.ourhome