writer NATULAGI編集部
「いくつになってもおしゃれを楽しみたい!」そんな私たち女性の気持ちを阻む、心やからだの不調やトラブル。
今回は、ナチュランの運営会社の産業医である常喜眞理(じょうきまり)先生をお呼びして、スタッフのリアルなお悩みにお答えいただきました。
〈相談する人〉
スタッフM: 40代後半/最近体調を崩すことが多くなったのが悩み。
編集T :40代中盤/ここ1、2年で急激な気力・体力の衰えを感じている。
〈教えてくれる人〉
常喜眞理先生
東京・千代田区にて「常喜医院」を開業。企業の産業医としても勤務し、職場での健康管理やメンタルヘルスをサポートする。
おしゃれ×心とからだのお悩み相談室、スタート!
T:本日はお時間をいただきありがとうございます。先生のことは社内でお見かけして以来、なんて素敵な方だと、ずっと気になっていました。本日はぜひ、先生が素敵な秘訣にも迫れたらと思っています。
常喜眞理先生:(以下:常)
そんなそんな(笑) こちらこそ、ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。
T:今回は社内の声を代表して質問させていただきますが、ナチュランのお客さまの中にも同じお悩みを抱えていらっしゃる方もきっと多いと思います。それではさっそく最初のお悩みです。
年々肌が敏感になってきました。生地が触れる首元の肌荒れ、機能性インナーを着たときの痒みなども気になっています。
T:年齢を重ねることで、若い頃とは違った肌トラブルが増えてきたという声、とても多いです。
常:そもそも人間は赤ちゃんから子ども時代は肌が弱く、だんだんと強くなっていくのですが、元気な20代30代を経て、40代の真ん中くらいからまた体質が変わってくる方が多いです。いわゆる更年期とされる時期ですね。
T:やはり更年期が関係しているのですね。
常:更年期の症状のひとつで、急にたくさん汗をかいてしまう「ホットフラッシュ」って聞いたことがあるかと思うのですが、人は日頃、無意識に毛穴を開けたり閉めたりして汗をかいて、体温調節や体内の水分調節をしているんです。それが更年期になるとうまくいかなくなってきます。
水分量のバランスが崩れてくると、肌も乾燥したり過敏になったりして、痒みもそうですし、今までなったことがないのに蕁麻疹ができたりかぶれたり、そういうことがどうしても増えてきます。
T:体の内側からの問題なのですね。例えばトラブルが起きにくい素材を選ぶなど、なにかできることはあるのでしょうか?
常:一般的には石油を使って作る化学繊維より、コットンやシルクなどの天然素材、やわらかいガーゼなどがいいと言われていて、実際に下着など、病院で紹介しているものもあります。ただ、天然素材だからみんなが大丈夫というわけではなくて。
デリケートな生地は扱いもデリケートなものも多いので、洗濯方法でも肌あたりは変わってしまいますし、自分に合っているものかどうかは、結局自分で見つけていくしかないんですよね。
M:私は肌の変化をすごく感じていて、顔や首の肌荒れのため皮膚科に通っています。保湿剤や肌にいいサプリなども、いろいろ試してみているのですが……。
T:おすすめのケア方法はあるのですか?
常:これも正解、というのは一概には言えないのですが、基本的には「洗って保湿する」というなるべくシンプルにケアしたほうがいいのと、あまり日によって変えないほうがいい、というのはおすすめしています。
M:いろいろ試すのはよくないんですね?!
常:皮膚の細胞が入れ替わるのは大体1カ月周期なので、一度崩れてしまったら、取り戻すのに1カ月はかかると思ってほしいんです。見た目はきれいになったと思っても、アスファルト引き立てと同じで、すぐにケアをやめたり変えたりすると、やっぱりすぐにダメになっちゃうんですよね。なので、1カ月はいろいろ変えない方がいいです。
M:良いと聞くといろいろなものに手を出していました。
常:お気持ちはわかります。ただ、この月間はこれを使おうみたいにして、月単位で試すのがいいと思います。
T:確かに、日によっていろいろやってしまうと、なにが効いているのかわからなくなってしまいそうです。
常:どうしてもなにか足したくなったら、まずは腕の内側など目立たないところに試してみて、アレルギー反応が出るとされる48時間待ってから使ってみるようにしてください。腕の内側に2日間塗って、大丈夫だったら3日目から顔など全体に使い始めるという感じです。
とくに顔や首は皮膚が薄く、デリケートな部分ですし、人から見えやすいので荒れてしまうとショックも大きいですし。
M:「1カ月」と「48時間」ですね! 覚えました!
T:ありがとうございます。それでは次の質問です。
冬なのに汗だくになったり、夏でも冷えたりと、体温調節がうまくできなくなりました。
常:じつは私も暑がりで寒がりなので、日頃から巻き物が手放せません。若い頃先輩たちが「首まわりに1枚あると違うよ」と言っていてピンとこなかったのが、40代50代過ぎるとだんだん実感を伴ってわかってくるという(笑)
▲「スカーフが大好きで、毎日気分に合わせて1枚カバンに入れています」と常喜先生。常:さきほども首がデリケートだとお話ししましたが、首は自律神経の重要な通り道でありながら、胴体のように内臓が近くにないため内側からも温まりにくいという、大事だけど条件的にはすごく弱い部分なんです。
T:スカーフなどを1枚巻いて首を守ってあげるというのは、すぐに真似できそうですね。
M:私はふだんから首を温めるようにしているのですが、それでも体温調整が苦手です。とくに気温が揺らぎやすい季節の変わり目は、汗がたくさん出て、急に冷えて、風邪を引くという負のループにも陥りがちです。
常:お辛いですよね。これもね、言ってしまえばそういう世代なんです。
M&T:そういう世代(涙)
常:はい、少し体の仕組みの話をすると、頭の中には「視床下部」という、生命を維持するための大事なところを司る、最高司令本部があります。ホルモンの分泌も、体温調節に関わる自律神経も、その視床下部がいわば「上司」のような存在です。
更年期世代になり、一部署の女性ホルモンの働きが悪くなると、上司が「なにやってるんだよ!」とめちゃくちゃ怒って、自律神経などの他の部署に八つ当たりしている、そんな状況をイメージしてみてください。
T:自律神経が八つ当たりされている……?
常:そうです。自律神経も心臓を動かしたり呼吸を調節したりやることがたくさんあるのに、怒られてストレスが溜まってきて、急に「もう今日は体温調節できないわ」みたいなことがしばしば起きてきます。
最初に話したホットフラッシュという急に大量の汗が出るといった症状も、自律神経の乱れが原因で起こります。
T:最初の質問もこの質問も、すべてつながっているのですね。
常:聞いたことがあると思いますが、自律神経は緊張時の「交感神経」と、リラックス時の「副交感神経」が互いにバランスをとっています。更年期の不調を整えたいときは、なるべく副交感神経を優位にするような状況をつくってあげられるといいですね。
M:よく笑う、とかですか?
常:感情もすごく大事です。あとは食事や睡眠など、一般的に知られているような規則正しい生活がベターです。ただ、実際にはみなさん忙しいし、仕事中はどうするの? というのが本音だと思います。
M&T:(大きく頷く)
常:そこで私がおすすめしているのは、飲み物を飲むことです。「飲む」という動作は、副交感神経を働かせないとできないんです。
M&T:そうなんですね!
常:そうなんですよ。コクンコクンとゆっくり飲む行為で、副交換神経を強制的に動かしてリラックスモードになるので、ティーブレイクってじつはとても大事なんです。
ちなみに、甘い飲み物は血糖値が一気に上がってしまうため、もし甘いものを取りたいなら、食べすぎに注意しながら「固形」で取るのがおすすめですよ。
最近気力が落ちてきて、おしゃれする気持ちも低空飛行気味。こんな自分にどのように向き合えばいいでしょうか。
T:次のお悩みですが、「気力」問題も、40代50代で話しているとよく出る話題で、おしゃれが楽しめなくなってきたという話も聞くんです。
常:これはね、私もありましたよ~。
T:先生でもあったんですね。
常:おしゃれは好きで楽しんできた方だと思いますが、洋服を試着する気持ちにもなれない、そんな時期がありました。
ちなみに、閉経の平均年齢は50.5歳。これは世界共通で、ずっと変わっていないんですよ。
T:人種による差もないんですね。ちょっと意外です。
常:みんな一緒なんです。もちろん妊娠出産の年齢は変わっていますが、生物学的なスタンスはずっと変わっていません。
だいたい閉経の5年くらい前からホルモンが不安定になって、閉経後もすぐに治まるわけではなく、5年くらいかけてだんだん落ち着いてきます。
M:その時期はもう、耐え抜くしかないんですか?
常:私も当時は診察中に患者さんの話を聞きながらめまいに襲われるなど、とにかく具合が悪かったのですが、もうしょうがないって感じでやり過ごしていましたね。
M:どうしても抗いたくなるんですけど……。
常:抗うのもいいと思うんですけど、やっぱり戦いになっちゃうと苦しいじゃないですか。ときには飲み物を飲んで息抜きして、「まあそういう自分も可愛いな」って受け入れていいんじゃないかなと思うんですよね。
T:その時期が過ぎたら、気持ちはまた戻ってきますか?
常:大丈夫、戻ってきます。
M:それは希望が持てます!
おしゃれも更年期も、おおらかな気持ちで楽しめたら
常:私は1963年生まれの62歳なのですが、
M&T:え、若い……!
常:ありがとうございます(笑) じつは閉経して数年後の50代後半に、道で転んで骨折して、そのまま入院してしまったことがあって。閉経後に骨密度が落ちるのはよくあることなのですが、測定したら閉経前より8%くらい落ちていたんです。
運動も全然できていなかったので、そこから反省して筋トレと水泳を続けるようにしました。すると、骨折から3年くらいで今度は骨密度が10%増えたんです。結果、閉経前よりプラスです。
M&T:すごい!
常:だから、時がくれば元気に過ごせるようになりますし、おしゃれも、また楽しめるようになりますよ。
それに気分が沈んでいても、そこちょっと乗り越えて、例えば何か1つでも新しいものを買って身につけてみたら、気持ちが変わる可能性もありますよね。
T:おしゃれが気分を変えることもあると。
常:そうですね、そう思います。クリニックに来る80代くらいの方でも、おしゃれされているのを見ると素敵だなって思いますし、元気な方が多いです。洋服選びって、何時に出かけて、誰とどこで会って、といろいろ考えなければいけないので、それこそ認知症予防にもなるんですよ。
年齢を重ねていくと若い頃と違って、まわりから何か言われることもあまりないですし(笑)、自分がいいなと思ったら、明るい色の服や流行だって、冒険してみていいんじゃないかなと思います。
チャレンジして「ダメだったらダメでいいや」みたいにおおらかな気持ちで、おしゃれも楽しめたらいいですよね。
M:なるほど!いくつになってもおしゃれを楽しんでもらう、というのはナチュランの願いでもあります。
常:自然体で、体のラインをきれいにカバーしてくれるようなものや、顔色が映えるような色使いのものなど、年代問わずおしゃれが楽しめそうなものがたくさん販売されていますよね。みなさん自信を持ってチャレンジしてみるといいと思います。
M&T:とてもうれしいお言葉です! 本日はどうもありがとうございました!
- プロフィール
常喜 眞理(じょうき まり)
医学博士
1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。千代田区六番町に「常喜医院」を開業し内科・皮膚科・小児科診療を行う傍ら、企業の産業医として会社員の心と体の健康をサポート。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若がえる』(さくら舎)など。