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エッセイスト・小川奈緒さん連載【だから暮らしはおもしろい】Vol.23  寒さに負けない体と心の育て方

writer 小川奈緒、illustrator 小池高弘

家づくりや暮らしにまつわる多くの書籍を手がけ、音声メディアVoicyでも人気のエッセイスト・小川奈緒さんによる、毎日をちょっと楽しく、豊かにしてくれる連載コラム【だから暮らしはおもしろい 】。

毎月第1・3月曜日に更新中です!

古い木造家屋の洗礼を受けて

この家に暮らし始めて、14年目。

引っ越してきた当時は30代、今は50代になったが、体調面では明らかに今の方が健康だし、筋力も体力もアップしている自負がある。

もちろん自然な現象であるはずがなく、自らの体の弱点に向き合い、ゼロから立て直してきた結果だ。

最初の冬にまず直面したのは、古い木造家屋の宿命ともいえる室内の底冷え問題だった。

エアコンでは到底カバーできない足元からの冷え込みと、まだ子どもが2歳で仕事と育児の両立にてんやわんやの日々だったこともあり、冬の間、元気な日がほとんどないくらい、わたしは常に体調不良に見舞われていた。

慢性的な寝不足から免疫力が低下し、子どもからはもちろん、仕事先でも流行っている風邪にはもれなく感染する。しかも一度風邪を引くと2週間も治らなくて、いつまでも咳が残り、仕事仲間に「小川さんっていつも体調が悪そうですよね」などと言われていたのだ。今では信じられないけれど。

この家に暮らしていくなら自分が変わるしかない

そんな自分がほとほとイヤになり、「せっかく気に入って住みはじめた家なのだから、この家を住みこなせる体に変わるしかない」と腹を決めた。

そのためには、まず冷え対策である。

暖房設備をパワーアップさせるより、服の着方を変えることにした。

具体的には、シルクのスパッツやレッグウォーマー、厚手のウールソックス、羊毛のルームシューズなどを常に身につけ、室内でも寒さから体をしっかりガードする。

あわせて、食事は鍋ものやスープ、しょうがなどを積極的に取り入れ、寝る前は必ずお風呂にゆっくり浸かって芯から体を温める。

さらに、筋肉を増やして自ら熱をつくることができる体を目指すことにした。

かれこれ10年近く続く朝ヨガ習慣は、「頑固な冷え症を治したい」という気持ちによって定着した部分が大きい。

一日少しずつの積み重ねが明らかな変化へとつながる

やっていることはどれも地味で、お金はかからないものの、継続しないことには結果もついてこないことばかり。


でも、根本的な立て直しって、きっとそういうものだと思う。

変化は小さくても、実は一日一日、ちょっとずつ体に効いていて、それが積み重なり、いつの間にか以前より明らかな進歩を遂げている。

わたしの体もそんなふうにして、気づけば、どんなに周りで風邪が流行ろうと、自分はもう何年も引いていない元気印な人になっていた。

心と体はつながっている。

それはわたし自身、身をもって感じるのと同時に、今より強い自分を目指すとき、一番に変えるべきは体の方だと、はっきり思っている。

冷えてすぐ熱が出たり、体力がなくて休日は起き上がれなかったりするようでは、前向きな思考を持つことはむずかしい。

でも、体が元気なら、もっとこうしてみよう、次はあれも試してみようと、新たな意欲が湧いてきて、それを実行に移しながら、ますます心身が健康になっていく。

寒い季節はどうしても肩が丸まって、春よ早く来い、と受け身の体勢になりがちだけど、冬が長い家でそんな省エネモードでいたら、一年の半分近くが過ぎてしまう。

だから、家事や運動でなるべく体を動かして、筋肉を落とさない生活を、規則正しく送る。

そんな意識をもって淡々と暮らしを営みながら、冬に負けない自分をつくっていきたい。

作家プロフィール

小川奈緒(おがわなお)

エッセイスト、編集者

築47年の縁側つき和風住宅に暮らしながら、イラストレーターの夫・小池高弘と中学生の娘と暮らす。最新刊『すこやかなほうへ 今とこれからの暮らし方』(集英社)、近著『ただいま見直し中』(技術評論社)など著書多数。instagram:@nao_tabletalk

小池高弘(こいけたかひろ)

イラストレーター

のびやかで抜け感のある線画で、書籍や雑誌の挿画、オーダー作品などを手掛ける。小川奈緒との夫婦作品に『心地よさのありか』(パイ インターナショナル)、『家がおしえてくれること』(KADOKAWA)などがある。instagram:@takahiro_tabletalk

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